
振袖の情報交換を行いました。
アイシャドーの表面をキャンバス代わりにSというフランスの著名なカラークリエーターがいます。
彼が初めてS堂の「I」を担当したときのテーマが「バロック」で、一枚の豪華な布切れを提示して、「この質感と表面の模様をアイシャドーで表現して欲しい」と提案してきました。
担当した研究員は「ルタンスに負けてたまるか」と試行錯誤の末に、二色効果のある干渉パール剤を駆使し、表面にモアレ(重なった縞)模様を立体的にエンボス成型(型押し)することで、彼の要求したイメージどおりのものをつくることに成功しました。
それ以来その研究員は、ムッシュM(ミスターM)とRからよばれ信頼されるようになりました。
Rは、アイシャドーの表面をキャンバス代わりに使って、次々とカラーテーマを表現していきました。
ひとつの中皿に「いろいろな形で数色が入っている」「カラービーズが混在している」「不規則な模様のうえにエンボスが刻印されている」など、今では当たり前のようにお客さまの目をひいていますが、当時はそのような外観のアイシャドーはどこにもなく、工場と協力しながら量産化のノウハウを蓄積していきました。
もっとも製造部長は、「こんな変な成型をやっているのは、世界広しといえどもうちだけだ」と、よくぼやいていましたが。
ムースポッキーの食感を追求したアイシャドー新製品のネタは思わぬところにあります。
食品業界では「ムースポッキー」がその新しい食感に人気が集まり、爆発的なヒット商品になりました。
このムース感覚をアイシャドーで実現しようと、若手研究員がチャレンジしたのです。
質感と安定性との両立がなかなか困難だったのですが、揮発性成分をある種の高配合することで実現に成功。
まぶたに塗ると、揮発性成分が飛んでクリームからパウダーへと使用感触が激変します。
このまったく新しい使用感触のアイシャドーは、「B」と命名されました。
また、新製品開発には思わぬところにハードルが待ち受けています。
水分散タイプのアイシャドー「ウォーターティアデュウ」がそれです。
みずみずしいつやとまぶたへのフィット感に特徴があります。
よく振って、沈んでいる粉末を溶かしてから使用するタイプなので、粉末部が簡単に溶け出さなければなりません。
ところがこれを段ボール箱に梱包してトラックで輸送すると、車による低周波の振動で中身が固まり、溶け出しにくくなる傾向がありました。
開発には成功したのですが、この問題を解決して製品が完成するまでに試作品が何回となく横浜と大阪の間をトラックで往復しました。
振袖では使いやすさにこだわったシンプルで直感的でありながら、次世代の機能を取り入れた振袖を用意しています。